2016年7月10日日曜日

アコースティック形式のミックス例③ ピアノの音作り

ピアノの音作りです。

関連記事も併せてお読み下さい。



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今回は生ピアノではなくMIDI録音で、ソフト音源はSynthogy Ivory II Grand Pianosを使用。

この曲はピアニストのタッチが繊細ですが、そういったニュアンスまでしっかり再現してくれる優秀なソフトなので重宝しています。



■音作りの前に小ネタ

MIDIでソフト音源を鳴らす場合、音源のアウトプットにプラグインをかけるのではなく、一度オーディオ化して処理するようにしています。

オーディオ化した状態でないとできない編集が可能になること、ソフト音源を立ち上げなくていい分のリソースが浮くことが主な理由です。



■書き出す際は必ずオフラインバウンスで

オフラインバウンスはCPUのリソースに依存する書き出し方法で、通常は数倍速でレンダリングされます。

しかし、Ivoryのような動作が重い音源をバウンスする時は、たまにアラートで表示される倍速が1.0以下になる場合があります。

これはリアルタイムバウンス(つまり等倍速)では処理できないことを行っているということで、実際に音を聞いてみるとブツブツと途切れている箇所が出てきます。

オフラインバウンスはプロジェクト上の情報を正確にレンダリングする機能でもあるので、必ずオンにしてください。

TDもマスタリングも同様です。

Cubaseの場合は書き出し設定の画面で「実時間で書き出す」のチェックを外せばオフラインバウンス処理になります。



バージョンによっては「インプレイスレンダリング」という書き出し機能があるので、そちらを使うのもいいでしょう。

音質への影響を懸念する意見もありますが、プラグイン形式が64bitの場合はほぼ変化しないと思っていいはずです。

Pro Toolsも11でプラグイン形式がAAXになった(つまり64bit化された)ことで、オフラインバウンスによる音質劣化はないので機能搭載したと開発者インタビューに書いてありました。

このあたりは自分で詳しく検証したことがないので、また機会を改めて記事にしてみますね。



では、本題の音作りへ。

まずは元音を聞いてみましょう。



■オーディオ化したままの状態





音の印象としては、ローがやや強くハイのヌケが良くない、ローミッドがモコッとしているといった感じですね。

フレージングやタッチによる影響が考えられます。

ダイナミクスに関してはいい具合にニュアンスが落ち着いているので、ほんの少しコンプをかけて整える程度に止めておいた方が良さそうです。



■EQの設定





ローとローミッドを若干カットし、2kHz以上は派手に上げています。

音のヌケが良くなり、フレーズの一つ一つが際立って聞こえてきました。

こんな感じです。



■EQ処理後の音





■コンプの設定




WAVESのRVoxというコンプなのですが、スレッショルドとアウトプットのゲインだけという非常にシンプルなインターフェイスになっています。

同社の有名なマキシマイザーでLシリーズがありますが、アルゴリズム的にはL2のソフトニーバージョンみたいですね。

R-Comp同様変なクセがないので、ピアノのようにコンプをかけるのが難しいソースにはこれを使うことがあります。

今回のピアノにはリダクションが-1〜-2db程度かかるように設定し、やや強めのアタックを揃える感じにしてみました。

聞いてみましょう。



■コンプ処理後の音




以上、ピアノの音作りでした。



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